新型インフルエンザの上陸防ぐ取り組み加速/神奈川県内新型インフルエンザの感染が全世界に広がる中、県内でも二十八日、上陸を防ぐための取り組みが加速した。メキシコや米国、カナダなどを出港した貨物船の最初の寄港地となることが多い横浜港では官民を集めた対策会議を開催。各自治体も対策本部などを設置するとともに早期発見などを目的に相談窓口を強化するなど、ウイルスの水際阻止を目指した活動を本格化させた。
「来るべき時が、ついに来た」。厚生労働省横浜検疫所(横浜市中区)の山崎勝彦所長は会議の冒頭、こう切り出した。
集まったのは横浜海上保安部、関東運輸局、横浜税関、県警、港湾業界など。いずれも“水際”に携わる関係者だ。
新型インフルエンザの発生を想定した訓練を横浜港で繰り返してきた。山崎所長は「入念に準備をしてきた。必要な措置は積極的に講じていく」と話した。
ウイルスの潜伏期間は最大十日間とされる。発生国を出港して十日以内に横浜港に入港する貨物船は原則、大黒ふ頭の沖合の指定海域に錨地(びょうち)停泊し、検疫官による「臨船検疫」を受けることになった。北米航路は約十日かかるため、いまのところ臨船検疫は行われていない。だが船主関係者の中には「今後、便数の多い近隣国で発生した場合は臨船検疫に時間がかかり、経済的な影響が大きくなる」と心配する声も上がる。
現場に直接携わる業界は積極的な予防策を講じている。本牧ふ頭で北米航路船を扱うアメリカン・プレジデント・ラインズは既に、発生国から入港した貨物船で船内荷役を行う作業員に対し操舵(そうだ)室に入る場合はマスクと手袋の防備を義務付けた。
港湾運送業者などでつくる横浜港運協会も「作業員を安心させるための対策が第一だ」と、義務化を検討している。
発生国から日本に寄港する客船は、検疫業務の効率化などのため三港に限定された。横浜港は東日本唯一の客船集約港となったが、横浜検疫所によると「この先二カ月間は該当する客船はない」という。仮に該当する客船がある場合は、乗客の体表温度を測定するサーモグラフィー装置などを設置して対応する。
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