太り気味で体温高く「感染疑い」と診断 成田「残してきた夫が心配」-。成田空港に29日、新型インフルエンザの警戒水準が上がってから初めてのメキシコ直行便2便が到着した。駐在員の家族らが厳しい機内検疫に驚きながら入国。早朝便ではボクシングの亀田和毅選手らが足止めされるなど一時騒然となったが、2便とも感染の疑いがある乗客・乗員はいなかった。メキシコではマスクの着用率は「2割程度」といい、危機感の欠如に不安の声も出た。
29日午後5時前、メキシコ市発カナダ・バンクーバー経由の「JAL11便」が成田空港に到着した。メキシコ市に住む日本企業の駐在員の妻(42)はマスク姿で入国。「残してきた夫が心配。気をつけるようにと言ってきた」と話した。
妻は24日(現地時間)に豚インフルエンザのニュースを見て急遽(きゅうきょ)、食料や飲料水を買い込み、外出を控えていた。27日、夫の勤務先から「家族を帰国させるように」と連絡が入った。メキシコから日本への直行便は予約がとりにくい状況で、「今週の金曜発の便は満席。来週の火曜の便も『空席は2席』といわれた。キャンセルが出て、この便に乗れた」。
現地は週末も病院が臨時開業する一方、街中では「(
インフルエンザの)知識のない人も多く、2割くらいしかマスクをしていない」という。
今月9日から仕事でメキシコ市などを訪れていた東京都世田谷区の輸出販売会社社長、猪股せい子さん(64)は「現地ではメキシコ政府が駅前などでマスクを配り、対応が早かった」。一方
、「(帰国し)こんなにすごいことになっているとは思わなかった。騒ぎすぎ。明日から仕事ができるか心配です」と不安を漏らす。
同便は乗員・乗客計381人のうちメキシコからの乗客は164人。降りる前に1時間以上、機内検疫が行われた。
熊本県の男子専門学校生(20)は「
メキシコ人の男性が(発熱を測定する)サーモグラフィーで熱があると判定されたが、太り気味で体温が高かっただけだと分かった。皆、『早く降りたい』という顔をしていた」と機内の様子を語った。
29日早朝に到着したメキシコからの直行便「アエロメヒコ航空58便」でも、待ち構えていた検疫官7人がサーモグラフィーや大量のマスクなどを持って機内に乗り込んだ。
日本企業の駐在員の妻(40)は「現地では情報も予防対策もいい加減で心配だった」と不安げ。一緒に帰国した小学5年の長女(10)は「日本に帰ってきてほっとした。メキシコの友達はみんなほかの国に避難している。早くみんなと外で遊びたい」と話していた。
http://sankei.jp.msn.com/affairs/disaster/090429/dst0904292242007-n2.htm
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