感染研「豚インフルエンザには不明な点がまだ多い」国立感染症研究所感染症情報センター長の岡部信彦氏らが4月27日、マスメディアに対し、「豚インフルエンザ」について現在入手している情報に基づく説明をした。
メキシコ国内では1000人規模の感染疑い者、80人超の死者が出たと報じられているが、現時点では確定診断例はそのうちのごく一部。感染ルートや患者の臨床症状については「不明の点がまだ多い。我々も情報を待っている」などと述べた。
最大の疑問は、米国とメキシコそれぞれで発生した患者の重症度が大きく異なる点だ。同じ系統のH1N1型豚インフルエンザに感染したものと見られているが、米国の患者は総じて症状が軽い。メキシコでは死者を含む重症者が多数出ている。
米国の患者の症状は、得られている情報によると、毎年流行する通常のインフルエンザの症状とほとんど変わらない。メキシコの重症患者の具体的な症状については、情報がほとんど得られておらず分からないという。
免疫状態の違いにより、「サイトカインストーム」が起きた人とそうでない人がいた可能性もある。その一方、細菌による2重感染で重症化した可能性、基礎疾患があったために重症化した可能性なども、現時点では考え得ると、岡部氏は話している。
確定診断は医療現場ではできない。メキシコの場合、カナダに検体を送り、PCR(ポリメラーゼ連鎖反応)による検査を実施しているようだ。感染疑い者の検体、死者の検体ともに、カナダに送られたのは全体の一部で、実は豚インフルエンザに罹患していない患者がかなりまぎれこんでいる可能性もあるという。
従って、この豚インフルエンザウイルスの毒性の強さが、現時点では評価しにくい。感染ルート、患者背景や臨床症状、感染者数、死者・重症者数などについて、より正確な情報が必要だ。
ちなみに4月27日現在、日本では豚インフルエンザが発生しても、確定診断ができない。PCRの検査試薬(プライマー)が国内にないためだが、「近日中にプライマーが作成され、各地方の衛生研究所で検査ができるようになるだろう」(岡部氏)とのことだ。
http://business.nikkeibp.co.jp/article/topics/20090428/193293/
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