「米軍の防疫大丈夫か」 岩国など基地の街、広がる不安 「米軍の防疫は大丈夫なのか」「検疫態勢を知らせて」。米軍横田基地に到着した生後四カ月の乳児に新型インフルエンザ感染の疑いが出たことを受け、基地を抱える各地の住民からは二日、不安の声が上がった。
乳児らを横田基地で降ろしたチャーター機が次に向かった岩国市の岩国基地。二〇〇〇年以降、基地では米軍物資に紛れて入り込み、繁殖した毒グモの駆除が続いている。基地問題に長年取り組む田村順玄たむら・じゅんげん岩国市議は「毒グモも駆除できない米軍の防疫態勢は期待できない」と憤る。
さらに同機は沖縄県の嘉手納基地まで運航したという。同基地に近い商店街の自営業女性(50)は「基地にチャーター便が来ると知っていたので心配はしていた。米軍はどんな態勢で検疫をやっているのか知らせてほしい」と話した。
一方、米海軍横須賀基地がある神奈川県横須賀市の鈴木正志すずき・まさし基地対策課長は「基地内で感染がまん延したら大変な問題なので米軍も真剣に取り組んでいる。軍の検疫だからといって心配はしていない」と信頼を寄せる。
米海軍佐世保基地を抱える長崎県佐世保市で飲食店を営む男性(48)は「水際対策で大騒ぎしているのに、米軍は別というのでは意味がない」と、日米地位協定に基づく米軍による検疫に疑問を投げ掛けた。
「大きな基地では、軍人や家族など月に数千人規模の出入りがある」と指摘するのは神奈川県の米陸軍キャンプ座間などをウオッチしている金子豊貴男かねこ・ときお相模原市議(59)。「政府は検疫の強化を米軍に申し入れたが、国民の安全にかかわる以上、日本側が検疫に関与できるように地位協定の見直しを検討するべきではないか」と話した。
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