市民散策、車行き交う メキシコ、経済活動制限に不満も 新型インフルエンザ感染拡大の中心となったメキシコで一日、感染防止のため、政府が一般企業に活動停止を求める五日間の期間が始まった。政府は外出を控えるよう国民に呼び掛けたが、メーデーで休日の街には多くの車が行き交い、公園でくつろぐ若者の姿も。一方、経済的なダメージを受けた市民からは不満の声が上がった。
市民の憩いの場であるメキシコ市中心部のアラメダ公園。警備の警官は普段の10%程度の人出と話すが、ベンチは埋まり、多くの市民が散策を楽しんでいた。
恋人とベンチに腰掛けていた高校生のネストル・ロブレスさん(18)は「何日も家に閉じこもって退屈だった」と話す。学校の休校措置が始まって以来、ずっと自宅にこもって映画を見るなどしていたといい、久しぶりの外出だ。
「出掛けないわけにはいかないよ。これしか生計を立てる手段がないんだから」と話すのは、公園でアクセサリーを売っていたビルヒニア・サラサルさん(48)。「(売り上げは)全然」とお手上げ状態だ。
公園内の露天商の数は普段に比べ、四分の一程度にまで減ったという。DVDを売る男性は「出掛けるなと言うなら、どうやって食っていくんだ」と不満をぶちまけた。
政府は企業に活動停止を求めたほか、政府機関の業務も同じく五日まで停止するとした。一方、日常生活に不可欠な交通機関や空港、港湾などの行政サービスや、スーパーマーケットやガソリンスタンド、医療・金融の各機関などによる経済活動は対象外とした。
市内ではスーパーのほか、一部の本屋や電器店も開いている。市中心部のショッピングセンターは、営業時間を一時間短縮しながら営業を続けていた。しかし、テークアウトの客を待ち、退屈そうにしていたレストランの従業員は「人出は(平日の)きのうよりも少ない」と話す。売り上げは70%も下がったという。
一方、弁護士のラファエル・ヒメネスさん(47)は感染への不安から、仕事のある四日までは家族と家にこもるつもりだ。「子供たちは退屈だから出掛けたいと言うが、妻とわたしが言い聞かせている。おしゃべりしたり、映画を見たりして過ごすよ」と話した。
http://www.chugoku-np.co.jp/News/Sp200905020237.html
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