いら立つメキシコ 広がる渡航制限・豚肉禁輸 新型インフルエンザの感染拡大で、「震源地」メキシコへの航空便を制限する国が増えるなか、「メキシコ差別」ともいえる過剰反応が一部の国で出てきたことに、同国政府がいらだちを募らせている。
エスピノサ外相は2日、中国が感染していないメキシコ人を不当に隔離していると述べ、「差別的な措置だ」と批判。中国が対応を改善しない限り、中国への渡航を控えるよう国民に勧告した。
中国は、上海経由で香港入りしたメキシコ人男性(25)から感染が確認されたのを受け、この男性が滞在したホテルを閉鎖。ロイター通信は、宿泊客と従業員約300人が1週間、ホテルから外出を禁じられたと伝えた。エスピノサ外相は、中国が香港以外の都市でも複数のメキシコ人を理由なく留め置いていると指摘。
同外相は、ペルー、アルゼンチン、キューバ、エクアドルの4カ国がメキシコへの航空便を制限したことも「不当な措置だ」と非難した。
メキシコ政府は中国やロシアなどがメキシコ産の豚肉の輸入停止を決めたのは不当だとして、2日までに世界貿易機関(WTO)に提訴する方針を表明。新型インフルエンザ問題は、外交や通商問題に発展する様相を帯びてきた。中ロ以外にも、これまでフィリピンやエクアドルなど数カ国がメキシコからの豚製品の輸入停止を決定している。
世界保健機関(WHO)は豚肉を食べても新型インフルエンザには感染しないとしているため、メキシコ経済省は「これらの国々は輸入停止の根拠を開示する必要がある」と主張。すでに大打撃を受けている国内経済の悪化を食い止めるために、強硬姿勢を貫く構えだ。
http://www.chunichi.co.jp/article/feature/swine/list/200905/CK2009050402100005.html
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