【新型インフル】中国が「愛国衛生運動」を展開 求心力向上が狙い? 中国の胡錦濤指導部は、新型インフルエンザの感染者が国内で発見された場合、是が非でも拡大を防ぐ構えだが、衛生部門だけでなく、宣伝、教育などさまざまな部門で予防措置を徹底させる「愛国衛生運動」を展開している。
衛生キャンペーンを“愛国”にも結びつけようとする動きで、指導部の求心力を高める狙いがみえる。建国60年となる今年10月の国慶節(建国記念日)に向けて愛国教育を強化しており、新型インフルエンザは格好の宣伝・教育材料となったようだ。
この運動は「全国愛国衛生運動委員会」(主任・李克強副首相)が主導しており、このほど全国各地に「愛国衛生運動を深く展開し、甲型H1N1流感(新型インフルエンザ)などを防止せよ」とする通達を出した。
具体的には、農業・衛生部門は、家畜管理の強化や農村での衛生環境向上、汚水・ゴミ施設の監督強化などに取り組む。宣伝部門は衛生知識の普及と群衆パニックの防止。教育部門は学校現場での衛生教育の普及。さらに鉄道部門は駅を利用した健康に関する教育の普及、社会保障部門は農民工(出稼ぎ労働者)の住居改善といった具合だ。
「愛国衛生運動」は「民衆を動員し、民衆に依拠、効果ある措置」を講じるよう求めており、観測筋は「(民衆動員により)“団結心”を高める効果を狙っていることがうかがえる」と指摘する。
中国では4日、反日を掲げ愛国を唱えた学生運動「5・4運動」から90年を迎えた。指導部は同日、記念大会を開き、宣伝担当の李長春政治局常務委員が「愛国主義の旗を掲げよう」と愛国精神を鼓舞。共産党機関紙「人民日報」も90年を記念する社説で「民族の復興のために青春の楽章を奏でよう」と青年層に訴えた。
中国指導部は、青年層の政治離れが進む中で、若者の愛国心を高揚させようとしており、今回の「愛国衛生運動」では、新聞、テレビのみならず、インターネットの役割も重視している。
http://sankei.jp.msn.com/world/china/090505/chn0905051931003-n2.htm
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