豚インフルで対応に追われる自治体 関空、検疫態勢強化メキシコや米国から始まった豚インフルエンザの感染はカナダにも広がり、世界的な大流行の脅威が迫りつつある。人から人への感染が増加する「フェーズ4」への警告レベル引き上げも予想されるなか、国や自治体は対策の強化に乗り出した。
今後、国内での発生が懸念される。拡大を阻止するため、府としても万全の対策を図りたい」
大阪府は27日午前、新型インフルエンザ対策本部の幹事会を緊急に開いた。府民の不安が高まる可能性を受け、健康医療部や危機管理室などの課長ら37人を緊急に招集。坂上知之保健医療室長が発生時の対応などについて各幹部に確認を求めた。
府は03年、国内で初めて新型肺炎SARSの患者上陸を経験した。患者は関西空港から入国し、近畿や四国を観光して台湾に戻ったが、国との情報共有など連携のまずさが問題になった。担当者は「SARSの経験があるので、感染症への心構えはできています」と話した。
一方、橋下徹知事は報道陣に「疑問点があればまず保健所に連絡してほしい。不用意に混乱しても仕方がないので、今の段階で慌てないようにしてほしい」と話した。
大阪府教委は近く、市町村教委や府立高校などに対し、手洗いやうがいの徹底、体調が悪いと訴えた子どもに渡航歴を尋ねることを通知する。
神戸市保健福祉局は同日午前10時から、約20人による緊急の健康危機管理対策会議を開き、担当者が海外の感染状況などについて報告した。兵庫県も午後に3回目となる対策連絡会議を開き、今後の対応を話し合う。
和歌山県も同日午前、危機管理連絡会議を開いて知識を共有するとともに、県民への広報活動や相談態勢などを確認した。京都府は同日午後、山田啓二知事が出席する部局長会議を開き、対策を府庁一体で進めることを確認する。
関西空港では、厚生労働省関西空港検疫所が27日も引き続いて入国者の検疫態勢を強化している。同日から、メキシコからの入国者に対して日本での滞在先や健康状態を尋ねる質問票を配り、記入してもらうことにした。感染地域が拡大すれば警戒を強める対象便も増えるため、通常より職員を増やして業務にあたっているという。
国土交通省は25日に情報連絡室を設置し、航空各社や空港などに対して検疫所からの協力要請に応じるよう求めたり、現地の状況や旅行の安全性などについて情報収集をしたりしている。同省幹部は27日朝、「いつフェーズ4に入ってもおかしくない状況だと思って準備する」と話した。
同検疫所はすでに、対岸にある大阪府泉佐野市立の泉佐野病院に対し、患者が発生した場合の受け入れを要請。未知の感染症の患者を収容できる全国で3カ所しかない特定感染症指定医療機関に指定されている病院だ。丹治精一事務局長は「豚インフルエンザの法的な位置づけがどうなるのかわからないが、患者が入ってくることを想定した心構えをしている」と話した。
韓国経由で米国やメキシコからの乗り継ぎ便が入る広島空港でも25日夜から、検疫所が国際線の乗客を対象に体温を感知するサーモグラフィ検査を実施し、健康状態の確認を続けている。成田空港でも同日朝から、米国やメキシコからの到着客に日本での連絡先の聞き取りを始めた。
神戸検疫所はメキシコと米国から神戸港に入る船舶について、乗組員に38度以上の発熱などが確認された場合は検疫官が船舶に直接乗り込む「臨船検疫」を必ず実施することを決めた。通常は無線での確認にとどめることも多いという。
■豚インフルエンザに関する主な相談窓口■
◇厚生労働省電話相談窓口(03・3501・9031)
◇滋賀県健康推進課(077・528・3619)(※29日以降は077・528・4983)
◇京都府健康対策課(075・414・4726)
◇京都市保健医療課(075・222・3421)
◇大阪府電話相談窓口(06・6944・6791)
◇大阪市保健所(06・6647・0951)
◇兵庫県疾病対策室(078・362・3226)
◇神戸市保健所(078・322・6787)
◇奈良県健康増進課(0742・27・8658)
◇和歌山県難病・感染症対策課(073・441・2643)
http://www.asahi.com/kansai/news/OSK200904270051.html
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