新型インフル、海外旅行痛撃…関空にもマスク姿目立つ世界的に感染が拡大している豚インフルエンザへの警戒水準が「フェーズ4」に引き上げられた28日、ウイルス上陸を阻止するため、国際空港や自治体などが一斉に本格的な対策に乗り出した。関西空港では、米国からの到着便に発症の疑われる乗客がいないかを調べる「機内検疫」の実施を決め、各自治体も対策本部を設けて情報収集や医療体制の整備に着手。メキシコツアーを急きょ中止する旅行会社も相次ぐなど、関係機関に緊張感が高まっている。
旅行会社
近畿日本ツーリストは28日、メキシコに出発するツアーを6月末まで中止することを決定。この日出発する旅行客も11人いたが、中止を順次連絡している。メキシコ・カンクンにはツアー客64人が滞在中で、現地に米ロサンゼルス駐在員を派遣し、感染予防に向けた注意事項を伝える方針。同社関西営業本部の小林広幸部長は「ほかの国へのツアーは通常通り実施している。今後は状況によって判断したい」と話す。
エイチ・アイ・エスも、この日メキシコへのツアーをすべて中止。個人旅行を中心に数十人が予定していたという。
JTB西日本は、同日午前、社内に対策本部を設置。阪急阪神交通社ホールディングスは午後にも新たな対応を決めるといい、「燃油サーチャージの引き下げと円高の影響で、大型連休中は海外旅行客が昨年に比べて約1・5倍。長期化が心配」としている。
空港
関西空港では、米国便対象の機内検疫を28日午後に到着するサンフランシスコ便から実施し、感染の疑いがある乗客がいれば検疫官が簡易検査や診察を行う。これまで、健康状態を記入する質問票はメキシコ滞在経験者に限っていたが、これを国際線全乗客に配る予定。対象者は同日だけで約1万1400人に上る。
出発ロビーでは、マスクをつけた渡航者の姿も目立った。感染が確認された米国オハイオ州を訪ねる兵庫県三木市の女性(59)は「帰国後も長期間適用される旅行保険に入り、マスクや除菌ティッシュも購入した」と話した。
空港内のドラッグストアではマスクが普段の3倍以上の売れ行き。米国へ向かう奈良市の主婦(30)は「新型肺炎(SARS)騒動の頃は海外旅行を取りやめた。準備は万全にしようと思った」と話し、消毒液も一緒に買い求めていた。
日本航空は、これまで国際線の機内に100個積んでいたマスクを北米や南米行きの便では200個に増やし、メキシコ支店にも2000個を送った。
発症の疑いがある人を最大10日間とどめておく施設として、厚労省は、空港近隣の数か所のホテルに部屋を確保した。
行政
大阪府ではこの日朝、新型インフルエンザ対策本部を設置。橋下徹知事は初会合で、医療従事者が新型インフルエンザの診療時に着る防護服を買い増しするよう指示。また、30日から5月10日まで大阪市内で開かれる「食博覧会・大阪」について、60万人の人出が予想されることから、国内で感染患者が確認された場合、開催自粛を要請する考えも明らかにした。同府教委は市町村教委と府立学校に対し、感染発生国や周辺国への修学旅行の自粛を求めることを決めた。
兵庫県も午前6時、対策本部を設置。同9時半から県災害対策センターで会議を開き、18日以降のメキシコからの帰国者は保健所に連絡することや、メキシコなどへの渡航を控えるよう呼びかけることを確認。京都府でも山田啓二知事をトップとする対策本部を設け、本庁と7保健所で24時間態勢で電話相談を受けることなどを決定した。
http://osaka.yomiuri.co.jp/news/20090428-OYO1T00672.htm
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