堂々たる山手学院の新型インフルエンザ対応 脱藩官僚 縦横無尽(39) ■ 「レベル5」になりました。
4月28日の夜に、厚生省や環境省の友人と焼肉屋で食事をする約束をしていました。ところがお昼過ぎになって、厚生省の友人から「行けなくなりそうです」とのメールが入ってきました。
どうしたのと思ったら、「豚インフルエンザ対応で、今レベル3です。もうすぐレベル4になるかもしれないので、そうなれば行けません」ということでした。そして、その直後に、「残念です。レベル4になりました」との連絡がありました。
厚生労働省のホームページでは、5月3日の時点では、トップページは「新型インフルエンザ対策」のコーナーが大きく中央に掲示されていました。【 http://www.mhlw.go.jp/ 】
これを見ると、4月28日の時点で世界全体の対策を取り仕切る国連機関のWHOが、「継続的に人から人への感染がみられる状態になったとして、インフルエンザのパンデミック警報レベルをフェーズ4に引き上げる宣言が行われました。」とされています。
警戒レベルは六段階に分かれていて、数字が大きくなるほど厳しい対応になります。「ヒトからヒトへの感染が地域社会レベルで持続的に見られる」というのがレベル4のことなのだそうです。
そして、4月30日にはレベル5に引き上げられました。パンデミック期とみなすレベル6のすぐ下「かなりの数のヒト-ヒト感染の証拠がある」ことを意味します。
では、もう一つのカタカナの「パンデミック」とは何か?「爆発的流行」とか「世界的大流行」と言えば、誰でも分かるのに、どうしてこうも行政の文書は分かりにくいのかと思います。
夕食会の時は、霞ヶ関の友人から、「豚インフルエンザにはタミフルが効くようですし、弱毒性のようですから、あまりあわてなくても大丈夫ですよ」と言われたので、参加できなかった友人の代わりに、残りの参加者で、豚カルビをたらふくいただきました。
■ 横浜の高校生とはどこの高校?
5月1日になって、横浜の高校生が新型インフルエンザの疑いありとの報道があり、インターネットでは、どこの高校だ?とか、誰だ?ということで、色々な情報が飛び交っていたようですが、一時は、名前と写真を見ることが出来たようです。ネット社会のいやな面だと思いました。
また、横浜市や神奈川県と厚生省のバトルがあったことは、皆さんご存知の通りです。
このバトルも、低レベルのものでした。電話回線がふさがっていたので、お互いに連絡が取れなかったとは、どちらも恥ずかしい話です。
それにもかかわらず、どちらのトップからも、「担当者の携帯電話番号を交換して置くように改善します」とか、「災害用の緊急回線を使用するようにします」という改善策ではなく、相手の批判ばかりでした。
それに比べると、横浜の山手学院高校( http://www.yamate-gakuin.ac.jp/ )の対応は堂々たるものです。
5月1日午前5時30分に学校のホームページで「本日1:30。本校生徒にインフルエンザの疑いのある生徒が出ましたので、新入生歓迎スポーツ大会を中止し、臨時休校といたします。生徒諸君は自宅待機して下さい。今後については改めて連絡いたします。」と発表されているのです。
全く隠し事をしない、非常に堂々たる対応です。私立の学校として、一つ間違えると大きなイメージダウンになりかねないのに、非常に適切な危機管理です。たいしたものだなと思いました。
この学校、1966年の創立ですが、建学の精神が良いですね。子どもたちにとっても良い経験になったのではないでしょうか。
■ タミフル使用に関する小児科医の悩みは解決されていません。
行政機関の連絡だけでなく、未解決の問題は他にもたくさんあります。その一つが、新型インフルエンザに効くというタミフルの問題です。
このタミフルは、服用後に異常行動が見られるということで、原則として未成年患者には投薬を控えるような指導がなされています。
友人の小児科医は非常に困惑していました。「タミフルを使うなと言われているのに、新型にはタミフルを使うのか」「責任を小児科医のおっかぶせるのか」と。
役所間の緊急連絡網だけでなく、まだまだ、準備すべきところは山ほどありますね。
木下 敏之
http://www.data-max.co.jp/2009/05/39_1.html
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